※前書き
今作はあまりにも登場人数が多いため
SSS(ショートサイドストーリー)風にお送りいたします。
また最大サイズでご覧になると奇麗に見れる仕様となっております。





行け行け! ぼくらのリトルレンジャー!

written by ぴえろ




 ある日の放課後、通例である野球を止め、リトルバスターズは学生食堂に集まっていた。

「皆の衆、今日は野球の練習を止めて、とある催しの準備をしてもらおうと思う」

「何だよ、藪から棒に。とある催しって何のことだ?」

「以前、人形劇の時に秋にまたこういう催しがあると言っただろう?」

「あー、そういえば、そんな話もあった気がしますネ」

「で、だ。また近所の園長先生から幼稚園で何かやってくれないかと頼まれたんだ。以前と違って今度は確約してきた。どうだ。ビックリイベントだろう」

「いや、どちらかと言うとお前が園長先生と知り合いになってることの方にビックリしたが」

「フッ、就職活動をしてると不思議と人脈が広がるものなのさ」

「恭介氏は保育士にでもなるつもりなのか?」

「わふー、とてもお似合いだと思いますっ」

「性格、子供っぽいしね。むしろ園児と同調しすぎて、他の保育士さんに一緒に怒られそうだよね」

「恭介さんなら、すごく良い保父さんになれると思うよ〜」

「何だよ、お前ら! 俺がそこまで子供じみた性格だとでも思ってんのかよ!?」

「「「「「「「「「うん」」」」」」」」」

「……フッ、流石は我らがリトルバスターズ。皆の心はとっくに一つじゃないか」

「こいつ、ショック受けて冷汗かいてるぞ」

「よく見ると拳も震えてます。一番年上なのに園児と同レベル扱いされたのが、余程ショックだったのでしょう」

「うわー、この二人は真性のサディストですネ。更に容赦なく恭介さんを精神的に追い込んでますヨ」

「いいじゃねぇか! 俺はいつだって心に少年ジャンプ! チルドレンハーツを持って人生を生き抜きたいんだよぅっ!」

「こいつ、今焦りってハーツって複数形で言ったぞ」

「この場合、恭介さん一人なんですから、ハートが正しいですね」

「お前ら楽しいか! 年上イヂめて楽しいのか! この学校辞めるぞ、チクショォォォーっ!」

「お前ら、いい加減脱線し過ぎだぞ。で、恭介。幼稚園で一体何をやるつもりなんだ?」

「うーん。この前、結局やり損なった人形劇なら、すぐにできるよねぇ?」

「そこまで言うなら仕方がありませんね。脚本ならわたしが持ってますから、自室から持ってきてあげましょう」

「何だ? 誰もそこまで賛同してないのに、西園の奴が異様なまでに積極的になってるぞ?」

「あれだけ熱演していたのに結局やらずじまいだったからな。実はむちゃくちゃやってみたかったのだろう」

「いやー、ぶっちゃけ、あの変わり様には引きましたけどネ」

「で、どうするの、恭介? やっぱり、人形劇でいくの?」

「あぁ、それなんだがな。最初はその方が準備も楽で手っ取り早いと思ってたんだがな」

「何か問題が出てきてしまったのですか?」

「問題と言うほどのもんじゃないんだが……場所の下見してきたら、やる場所が結構広いんだよな」

「つまり、人形劇では規模が合わんということか?」

「そういうことだ。なので、劇は劇でも軽演劇をしようと思う」

「何だその軽演劇ってのは?」

「まあ簡単に言えば、喜劇だな。娯楽性を重視している演劇のことで、例えるなら吉本新喜劇を思い浮かべてくれればいい」

「おーっ、ヨシモトですか! 幼稚園でれっつ・ぱちぱちぱんちなのですねっ!」

「いやいや、そんなことしないからね、クド?」

「実はすでに何をやるかも決まっていてな。戦隊物をやろうと思っている。台本ももうできている」

「もう準備してるんですネ。相変わらず、下準備好きだなぁ」

「一応、俺だけで考えてみたが、草案のようなものだ。何か意見があったら聞かせてくれ。で、これが台本だ」















タイトル
「行け行け! ぼくらのリトルレンジャー!」













「……恭介さんや、一つ言わせてもらってもいいですかい? もうちょいマシな名前考えろやぁぁぁぁぁーっ!」

「えー、何でだよ? ナイスネーミングだろう? キッズにも受けそうだぜ!」

「こいつ、脳みそ完全にガキだな」

「“行け行け!”って、このリトルレンジャー達はどこへ行くんだろう?」

「それはおそらく、カッコイイ=イケている。つまり、イケイケと掛けてるんじゃないのか? 本当にイケてるかどうかは別にしてな」

「“ぼくらの”ってのは誰だ? 園児か? それとも、俺達なのか?」

「おそらく、園児でしょう。硬いイメージのある漢字を使った『僕らの』よりも全部平仮名にした『ぼくらの』の方が柔らかく、園児向けなイメージがあります」

「テキトーに決めたタイトルにここまで鋭く考察を入れてくるとはな。……恐ろしい奴らだぜ」

「何だ。やっぱりテキトーだったのか」

「さて、では次のページをめくってみてくれ。そこにストーリーが載っている」



ストーリー






突如として、○×幼稚園を世界征服を企む悪の組織「ジャアクナンダー」が襲撃!



なんとその幼稚園は全世界の火山を爆発させるパワーポイントだったのだ!



ジャアクナンダーは園児を人質に、着実に全世界の火山を爆発させる計画を進めていく!



誰もが諦めかけたその時! 世界を救うべくリトルレンジャーたちが現れた!





 

<1>

「わー、それっぽいねぇ。ホントに日曜日の朝にやってそうだよ〜」

「リトルレンジャーは世界を救うために戦うのですね! 燃える展開ですっ」

「……でも、少々安直すぎませんか? もう少しひねった展開にしてみても良いと思います」

「フッ、西園よ。確かに俺が本気になれば、もっと凄いストーリーを考えられるだろう。だが、仮にできたとして、真人がそれを覚えられると思うか?」

「全くだぜ。オレがこれ以上難解なストーリーを覚えられると思ってるのかい、そこなお嬢さん?」

「いや、全く自慢になっとらんぞ」

「……なぁ、思ったんだが、このジャアクナンダーは世界征服が目的なんだろう? だが、全世界の火山を爆発させては世界は滅んでしまうんじゃないのか?」

「ちっ、我らが生真面目さんからお利口な意見が出たぜ。どーする?」

「まるで分かってませんネ。勝手に言わせておきましょう」

「謙吾少年。そこを突っ込むのは野暮というものだよ」

「そ、そうなのか? すまん、余計なことを言ってしまったようだ……忘れてくれ」

「で、次が展開な。どうやって舞台進行をしていくかが載ってある」



展開

入口よりスモークと共にジャアクナンダー登場。



園児を脅しながら、舞台へ向かう。(ヒールのプロレスラーのように頼む)



園児数名を人質に取って、何しに来たかを宣告する。



人質役のおねーさん(後述)がリトルレンジャーに助けを求めるように園児たちに呼びかける。



リトルレンジャー登場。



数々の死闘を繰り広げる。



ジャアクナンダーを倒して、エンディングへ。

<2>

「……シンプル過ぎないか? 脚本とはもう少し細かい指示を出すものだと思っていたが」

「その辺は練習の時に言う。だが、俺はむしろ皆のアドリブにこそ期待したい」

「それって手抜きっていうんじゃない?」

「良いんだよ。いいか? これは喜劇なんだ。堅苦しく考える必要なんかない。最初の観客でもある俺たちが楽しまないで誰が楽しむってんだ?」

「まぁ、俺は覚えられんからアドリブ優先の方が助かるが」

「人質役のおねーさんとは誰のことなんでしょうか?」

「んー、おねーさんって言うくらいだから、ゆいちゃんじゃないかなぁ?」

「だから、ゆいちゃんと呼ぶなと……。第一、私は自信がないぞ」

「意外だな。来ヶ谷ならば、どんな役でも片手間で演じ切れてしまいそうなものだが……」

「いや、役柄が問題なのではない。園児たちの可愛さのあまり、私が拉致しないかが心配だ」

「そういう心配なのっ!?」

「フッ、その心配する必要はないな。次のページを見てくれ。役とキャスティングが載ってある」



配役


   <リトルレンジャー>

   リトルレッド:棗恭介
   リトルグリーン:直枝理樹
   リトルイエロー:井ノ原真人
   リトルブルー:宮沢謙吾
   リトルピンク:棗鈴

   <ジャアクナンダー>

   ジャアクナンダー:三枝葉留佳
   女幹部1(お色気系):来ヶ谷唯湖
   女幹部2(科学者系):西園美魚
   怪人ドッグ・ザ・クド:能美クドリャフカ

   <その他、エキストラ含む>

   人質のおねーさん:神北小毬
   人質の園児:園児数名
   戦闘員:科学部部隊

<3>

「あ、僕、リトルグリーンだ。……名前が木っぽいとかそんなんじゃないよね?」

「オレはリトルイエローか。ひゅぅっ、良かったぜ。理樹と敵対するんじゃないかってヒヤヒヤしたぜ」

「俺はリトルブルーか。……まさかとは思うが、胴着の色から決まったんじゃないだろうな?」

「何できょーすけがレッドであたしがピンクなんだ! ピンクなんてダッサイ色、嫌だ。変われ。あたしがレッドをする」

「別にいいが、結構セリフ多い役だぞ? リーダーだし。一番最初に名乗るんだぜ?」

「うぅ、じゃあ、やっぱりピンクでいい……」

「ピンク色可愛いよ〜。りんちゃんのリトルピンク見たいなぁ……」

「それに戦隊モノのピンクは女性がやるのが暗黙の了解だ」

「むっ! 今、配役を見ていて気付いたんだが……これはもしや新旧リトルバスターズの対決なのでは!?」

「お、そういやそうだな」

「何やら意味深なものを感じるな……。過去と現在の対決、そういうテーマ性を感じる……」

「いや、テーマ性は一切ない。ただ女物のレンジャー衣装は一着しか借りれなかっただけだ」

「……そうか」

「さっきといい、てめぇは深読みし過ぎなんだよ。もっと純粋な気持ちで見ろよ」

「単細胞はいいな。悩みがなさそうで」

「っんだと、てめぇ! 喧嘩売ってんのか!?」

「はいはい、同じレンジャーなのに演る前から仲間割れしないでよね」

「やたーっ! 私何気にラスボスですよ! 出世出世〜っ!」

「来ヶ谷さんはハマリ役ですが、何故、わたしも女幹部なのでしょう?」

「下の<その他、エキストラ含む>をよく見てくれ。戦闘員が科学部部隊になっているだろう」

「あ、本当です。気づきませんでした。なるほど……つまり、わたしが彼らの隊長という設定ですか?」

「うむ、そういう条件で協力してもらったんだ。すまんな、他に戦闘員っぽいのがいなかったんだ」

「仕方がないと思います。戦闘員は影の主役ですから、欠くことはできませんし」

「いや、全くその通りだ。理解が早くて助かるぜ」

「私は悪役の怪人ですかぁ……。リトルレンジャーの方をやりたかったのです」

「そう言うなって。犬っぽい格好で暴れ回ってみろ。キッズたちに大人気間違いなしだぜ!」

「わふーっ! ホントですかーっ! 私、何だかやる気が出てきましたーっ!」

「うーん、私が人質のおねーさんだったのかぁ。とゆーことは、あんまり劇には参加しないんですか?」

「いや、むしろ、この役こそ最も重要と言っても過言じゃない。園児たちが一体感が得られるか否かは小毬、お前にかかっている」

「なるほど、分かりましたっ。がんばりますっ」

「よしっ、配役はこのままでいいみたいだな。じゃあ、次に各役の心得が載ってある。肝に銘じてくれ」



演技心得


   <リトルレンジャー>

   リトルレッド:俺のことは俺に任せろ。指図されるのは嫌いなお年頃なのさ。
   リトルグリーン:必殺技は「グッド・バッティング」だ。ただし、バットはプラスチック製だ。危険だからな。
   リトルイエロー:ひたすら、語尾に「そして、オレはカレーを食う」と付けろ。そして、隙あらばカレーを食え。
   リトルブルー:必殺技は「ギャラクテカ・メーン」だ。テンション上げ過ぎて、「メーン」が「マーン」になってもいいぞ。
   リトルピンク:必殺技は「ハイキック」だ。でも、たまには手も使って攻撃しろよ。体育館裏で泣いてたぜ、あいつ。

   <ジャアクナンダー>

   ジャアクナンダー:とにかく邪悪に。
   女幹部1(お色気系):やたらとエロティックな衣装だが、発言はエロ禁止だ。無論、ポロリも禁止だ。俺が焦るからな。
   女幹部2(科学者系):伊達眼鏡と白衣付けて科学者チックに。常に注射器を片手に持ってると尚良し。演技は任せる。
   怪人ドッグ・ザ・クド:セリフは「わふー」だけだ。理由は犬っぽいからだ。

   <その他、エキストラ含む>

   人質のおねーさん:何度かリトルレンジャーは危機に陥る。その度、園児たちに応援を呼びかけてくれ。
   人質の園児:客席から何人か拉致してこい。優しくふんわりと、しかしそれでいて、エキセントリックにな。
   戦闘員:所謂やられ役だ。でも、一撃一撃に労いの精神を忘れるなよ。あいつらだって、辛いんだぜ?

<4>

「こんな感じだ。どうだ、皆? 何か質問はあるか?」

「「ちょっと待てやぁぁあああぁぁーっ!」」

「何だよ、どうしたんだ? 二人とも?」

「どうしたもこうしたもないですヨ! 『とにかく邪悪に』って何!? 私だけ妙に手抜き過ぎやしませんか!?」

「三枝はまだいいだろうが! オレなんかひたすら、語尾に『そして、オレはカレーを食う』って付けたり、隙あらばカレーを食うんだぞ!? 意味分かんねーよ!」

「三枝、お前ならこのアドバイスだけでジャアクナンダーを演じ切れると思ったんだがな……。無理なのか?」

「へ? そりゃま私にかかれば、ラスボスぐらい余裕ですけどネ」

「だったら、いいだろう? 何を怒る必要がある。むしろ、これはお前の演技力高く評価しているが故にアドバイスが短いんだぜ?」

「や、やははーっ。誤解しないでくださいヨ。これはですね、『私だけこんな高く評価しちゃ他の皆が不公平でしょーっ』というわけでして、ハイ」

「で、次に真人だが……しょうがないだろ。リトルイエローはカレーキャラなんだ。常にカレーの中のターメリックを摂取しないと死ぬ設定なんだ」

「何ぃ、そうなのかよ!? ……じゃあ、しょうがねぇな。分かったよ。でも、必殺技がねぇのは何故なんだ?」

「他のリトルレンジャーは必殺技を叫んで攻撃しないと威力が増大しないが、お前は通常攻撃が既に必殺クラスだから必殺技が無いんだ。戦闘力はNo.1だ」

「なるほどな、強過ぎるが故にパワーバランス上、変な制限があるってことかよ……」

「あぁ、その通りだ。他のリトルレンジャーを見てみろ。わざわざ攻撃の度に技名を叫ばなきゃいけないんだぜ?」

「それなんだけど、恭介。それって絶対に守らなきゃいけないの? 何かすごく恥ずかしいんだけど……」

「フッ、理樹よ。そんなものは、はしかみたいなもんさ。むしろ、一度叫べば、病みつきになるぜ」

「言っておくがな、恭介。百歩譲って『ギャラクテカ・メーン』は言ってやろう。だが、この俺が『ギャラクテカ・マーン』なんか言うかっ!」

「いや、言うぜ。絶対に言う。舞台のボルテージが最高潮に達した時。謙吾、お前は必ず言う」

「フン、そんな予言めいたことを言っても、俺は絶対に言わんからな」

「流石はリトルバスターズ一のクールガイだな。そうだ。謙吾も語尾に『それでも、俺はクールガイさ』とつける設定にしよう」

「何だとぉぉおおおぉおぉーっ!?」

「おっ、良かったじゃねぇか。これでキャラがより濃くなったぜ」

「いいわけあるかっ!」

「試しに興奮している今、言ってみたらどうだ? もしかすると落ち着くんじゃないのか?」

「そんなことで落ち着くかっ! ……それでも、俺はクールガイさ。むっ、意外にも本当に落ち着くぞ……」

「落ち着いちゃうんだっ!?」

「言霊という奴かもしれんな」

「安っすい言霊だなぁ……」

「ところで、私の『ハイキック』はこれでいいのか? 皆みたいにナントカハイキックみたいな感じにしないのか?」

「あぁ、じゃあそれでいこう。鈴、お前は攻撃の度に『ナントカ・ハイキック!』と叫ぶんだ。手を使う時は別にいいけどな」

「嫌じゃボケーッ! それじゃ、まるでボケ老人みたいだろっ!」

「分かったよ。じゃあ、『ペペロンチーノ・ハイキック』と叫べ」

「お、意外とカッコイイな。それにしよう」

「何か常にペペロンチーノ食べたがってるみたいだね。というか、鈴の手が体育館裏で泣いてる件には触れないの?」

「この馬鹿兄貴の発言に逐一付き合わないのが、長く付き合うコツなんだ」

「うわー、否定し辛いなぁ、その一言は」

「恭介さん恭介さん! ホントに私のセリフは『わふー』以外に無いんですか?」

「ああ、無いよ。全くない。ゼロだ」

「これなら絶対に間違えませんね! とっても簡単ですっ!」

「……いや、ある意味お前が一番難しいぜ」

「え? 何故ですか?」

「だって考えても見ろ。全ての感情を『わふー』という一語だけで表現するんだぞ? 抑揚や緩急だけでどれだけバリエーション付けられるか……」

「がーんっ!! たった今、この役がとても難しいということに気がつきましたっ!」

「うーん、私は具体的にどんな時に応援を呼びかければいいんでしょー?」

「タイミングはお前に任せる。小毬的に危機だと思う場面で言ってくれればいいさ」

「なぁ、恭介氏」

「少し伺いたいことがあるのですが」

「意外だな。お前らからも質問があるとは思ってなかったぜ」

「いや、役に関しては特にないんですが……」

「人質の園児に関してが要領を得んのだ。『優しくふんわりと、しかしそれでいてエキセントリックに』とはどういう感じなんだ?」

「意味が分からんなら、普通に連れてくればいい。実の所、書いた俺も訳が分からんかった」

「なら、直せばよかろうに……」

「他の準備に忙しくてな。この辺から睡魔に襲われながら書いたから、カオスなことになっちまったぜ」

「「「「「「「「「訳分からん設定はそのせいっ!?」」」」」」」」」

「後で見てビックリしたぞ。最初は俺が寝てる間に小人さんが書いたのかと錯覚したくらいさ。ま、結局、オモロいからこのままにしたけどな」

「ところで、恭介氏。レンジャー以外の衣装とかは我々が準備するとして、実際演る時の音響とか照明といった裏方はどうするんだ?」

「それに関しちゃ科学部が全面的に協力してくれている。後、舞台セットとかもな」

「……何気に凄いんだな。科学部」

「科学ってのは万能なのさ」

「いやいや、万能過ぎるでしょっ!? 何使ってんの!? ネコ型ロボット!?」

「他に何かこうした方がいいんじゃないかという意見があったら、出してくれ」

「おい、きょーすけ。やっぱり、ここはこうして欲しい」

「えぇ? そりゃ、かなりの変更じゃないか。どう、補正すんだよ?」

「んなモン知らん。ただ、あたしはそうしたい。その方が気合が入る」

「う〜む、まぁ、そこまで言うのなら、何とかしてみせよう」

「思うんだが、恭介氏。ここをこんな風にしてみるのはどうだ?」

「何ぃっ!? そ、その発想はなかったぜ……」

「後、ここをこう変えてみると面白いかもしれませんよ」

「おっ! たった今、はるちんの頭脳にズビズババァァァンっ!と電波が! ここをですネ、こうすると面白いかもですヨ?」

「お前ら、凄いな。見る見る作品のクオリティが上がってくじゃねぇか。こいつはぁ、大作の予感がするぜ……」

「お笑い劇だけどな」





 そして、日も暮れそうになった頃、彼らの打ち合わせが終わった。





「……大分変ったな。いいのか、これで」

「まぁ、大筋は変わってないし、原型は留めてるから、いいんじゃないか? 何より最初の時よか数段面白くなったぜ」

「へっ、俺は途中までしか覚えてねぇ自信があるがな……」

「いやいや、それ自信って言わないからね」

「あぁーそうそう、本番は来週の土曜日だから。今日は金曜だから、つまり、猶予は7日な」

「「「「「「「「準備期間、短っ!!」」」」」」」」」


後編へ続く。   別のを見る。





 ぴえろの後書き

 「旧リトルバスターズって丁度五人だし。何か戦隊モノできそうだよなぁ。姉御はお色気幹部できるし」
 という、妄想を広げに広げまくった結果、誕生したのがこの作品。台本考えてる時はニヤニヤしてたので、きっとすれ違った人はキモっ!とか思っただろうなぁ。
 しかし、一か所にキャラ立ちしてる奴らが10人もいるってのはもう凄いですよ。書いてる最中、頭ん中で点呼取ると必ず誰かいなくなってました。
 恭介が突出するのは仕方ないんですが、全員のセリフ配分を調整するのも苦労しましたよ。しかも、次から次にセリフが浮かんでくるので、まともな小説にできません。
 なのでいっそのことSSSの形にしてみました。会話だけなのに20KB近くあるんですよ、これ。あーでも、次は劇だから、動作とかも入るんだよなぁ……うわっ、ぞっとする。

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